ごり押しでナイト

自称音楽家(SETUZITU)ワタクシ清野の活動情報や雑談,その他諸々晒していくぞのコーナー♪♪♪
皆様,何卒よろしくお願いいたしもぉす!!!
雨降の楯という創作グループ立ち上げました。 僕のお話「Synchronized」がオーディオドラマとなりました! こちらから是非ご覧下さい→http://ametate.cranky.jp

2014年07月

「…だからね。みんなも誰かを仲間外れにしたりしないで、これから1年間、仲良くやっていこうね。」

掠れた声で私の担任、楠(クスノキ)はそう言う。今日から私たちは高校2年生になる。私の学校は毎年クラス替えがある。新鮮といえば新鮮だが、教室を見渡しても仲の良かった友達は殆どおらず、孤独感を抱いた。もともと、友達、と呼べる人間は少なかったが。

朝のHRの後はすぐに始業式があり、そして業務連絡を聞いて解散の流れだった。楠の声は、クラスの喧騒に掻き消され、何を言ってるのか最早わからなかった。それでも注意をしない担任も異常だが、人の話を聞かずに下らない雑談に勤しむ周囲を、私は何処か見下していた。餓鬼だな、と。


その違和感は、時が立つにつれ明確になっていく。


私の隣、前田(マエダ)が、学校に来なくなったのは、始業式から僅か2週間でのことだった。

最初は、シカトされてるなーこいつ。くらいだったのだが、次の日には打撲痕が、また次の日には火傷痕が制服の隙間から見えた。

干渉するつもりはない。私はもともと「そういう人間」だ。憐れむ必要もない。そういう人間は社会の何処にだっているし、それらに屈してビクビクして首を吊ったり、ひきこもったりするようなやつらを相手にしてはいられない。時間は無限のようで有限なのだから。そういう星のもとに生まれたと気づいたときから、そういう生き方にギアチェンジすればいいだけなのに。みんなと同じが一番だ等と、一体いつまで勘違いしているつもりなのだろう。

…まぁ、最後の方は、私の持論だが。


「月島(ツキシマ:私の名だ)さんって、なんだかかっこいいよね」

私がクラスメイトを見下していることを、クラスメイトも本能的に理解していたのか、誰も私に話し掛けてこなかった。しかし、始業式から2週間と少し、その均衡は目の前の女によって破られた。

「…そうかな?初めて言われたけど」

そいつ、佐藤(サトウ)は私が反応するといっそう嬉しそうに、私の隣、前田の席に座った。

「うんうん!!めっちゃクール!!私も月島さんみたく、カッコイイ女になりたいんだーっ!!」

口から出ている言葉と確実に真逆の趣向な背格好に声色だ。はっきり言って、こういう女は好きじゃあない。媚びたければどうぞ、余所でやってくれ。


「…それじゃあまず、ペチャクチャおしゃべりするのを止めた方がいいかもね。あと、授業中は自分の席で…まぁしっかり勉強しろとは言わないけど、せめて静かにケータイ弄るなりゲームするなりしていた方がまだいいんじゃない。」

「ぐっ……!正論過ぎて何も言えない…!じゃ、じゃあ…この授業の後ね!」

苦笑を浮かべられるあたり、佐藤はまだ良心的だと思った。そのレベルの集団だ。嫌にもなる。佐藤はそそくさと席に戻り、残り授業半分のところで、漸く教科書やらを机にひろげ、そして眠りについた。教科書があるという奇跡を垣間見た。あと、どうやらこの後ここにまた来るらしい。

楠は歴史の授業も担当している。クラスメイトは担当の先生によって、授業中の立ち居振舞いを変える。器用なものだ。


佐藤はそれから、授業が終わる度に私のところに来た。一方的に話をする彼女との時間は非常に無利益だったが、実害があるわけでもないので放っておいた。



ゴールデンウィークがあけると、今度は教室の一番右端前にいた阿部(アベ)が学校に来なくなっていた。


「…きょう…で…いって…さい…」


ここまでくると最早喧騒どころの騒ぎではない。赤子の泣く声?暴走族がエンジンをふかす音??ドラムを叩く音か。それぐらいの騒々しさで、クラスは満たされていた。何が楽しくて、そんなに声を張り上げるのか。理解できない。

楠は、そう言った状況でも、声量も顔色も変えずに話し続ける。ある意味、一番狂っているのかもしれなかった。

「ねぇねぇ月島さん知ってる?前田君も阿部くんも、うちのクラスの女子たちに苛められてたんだって!」

大体察しは付くだろう。いちいち大きな声を出すな鬱陶しい。

「…ふーん。どーせあのへんでしょ。佐々木(ササキ)とか磯辺(イソベ)とか」

この辺りが実質クラスのヒエラルキー最上層である。ギャルだ。頭が悪そう。ヤンキーボーイと仲が良いから、誰も逆らえないのだ。糞みたいな権力。そんなものが通用するのも、今だけだというのに。既に道を踏み外していることを、低俗なやつらは気付いていないのだ。


「まぁそうなんだけど…よく見てるね」

佐藤は若干顔を強ばらせていた。おかしなやつだ。誰でも最初にそこを疑うだろう。自分は強い、偉いと錯覚しているやつを。

「ん、まぁああいうのには関わらないのが一番。で関わっちゃったら学校来ないのが一番。つまり、二人とも正解だよ。」

「……月島さんって、本当にカッコイイね。カッコイイついでに、私のお願いも聞いてくれない??」


唐突に沈んだ声で、彼女は言う。いつになく深刻そうだったが、めんどくさそうなので断ろうとする。と。

「あ、今めんどくさそうな顔した!」

「……よくわかってるじゃん」

私のその反応を待たず、両手で私の手を握り、懇願する。

「お願い!月島さんしか、もう頼れる人いないの!!」

めんどくさい。

しかしまぁ、珍しい反応なので少し興味がわいた。
この、なぜ自分がこの場所にいるのかも考えようとしないような女が、一体どんな悩みを、よりにもよって「私」なぞに打ち明けようとするのか。とても。興味がある。

「はぁ…いいよ。で、ここで話せること?」

佐藤は静かに首を振る。その反応を見て、私は直ぐに席を立った。え、え、と佐藤は困惑する。

「ここで言えないんでしょ?場所を変えよう」

「でも、授業…」

「今更何言ってるのさ。あんなもの、授業でもなんでもないよ。そもそも私らなんていてもいなくても一緒だしね。」

私は、めんどくさいことは先に終わらせるタイプだ。歩き始めた私の後ろを戸惑いながら佐藤がついてくる。そして、廊下に出た辺りで横に並んだ。


屋上は扉が壊れたままなので開いている。授業中なんかにここに来て、頭の悪そうなやつらに絡まれたら面倒だ、等と思ったが、ここかトイレくらいしか人目を憚れる場所は無いように思い、前者を選んだまでだ。

「…ふぅ。よし、誰もいない。」

春も中頃、心地よい風が吹きつけるその中に、少しずつ熱気を含み始めている。5月病、等と腹のたつ言葉が盛んに使われる季節だが、これを冗談であろうと使うものは、恐らく年中、この症状に苛まれているだろう。可哀想に。そんなに生きるのが面倒なら、さっさと死んでしまえばいい。酸素がもったいない。お前らが生きているだけで、この国はヒートアイランドだよ。

「……屋上って入れるんだ。初めて知ったよ…」

佐藤は景色を眺めるようにして扉を閉めた。ギギギという音を上げて、なんとか扉は閉まる。


少しの静寂。

それというのも、佐藤がなかなか話始めないからだ。



「…で。どういった用件でしょうか。」

私が促すと、ビクッと一瞬身体を硬直させて、一度息を大きく吸って吐いた後、あのね、と。語り出す。

「阿部くん、来なくなったでしょう??…その前は、前田くん。あれね、月島さんのいう通り一部の女の子達がお金取ったりトイレで殴ったりしたからなんだ。それで、実は…前田くんの時、私も一緒にそこにいたの。ちょ、直接何かしたんじゃあないけど、そこにいて、ただみてた。嫌だったの。怖くて言えなくて。それで、月島さんのところにいった。ぶっちゃけると、最初は誰でも良かったんだ。でも、みんな誰かしらとグループ作っちゃっていたから、入りにくくて…しかも私、クラスのみんなからは佐々木さんや磯辺さんのグループの人間って思われてるみたいで。だから…いつも一人でいる月島さんのところに。」

……成る程。突然すぎるとは思ったが、随分身勝手な理由で纏わり付かれていたようだ。

「ふーん。そっか。で?贖罪がしたいなら本人に言ったら?私はそれらの件についても、クラス内の情勢にも一切関与していないんだけど。」


出来るだけ醒めた口調で言い放った。実際くだらないと思っていた。結局はそんな罪悪感を自分自身だけでは抱え切れなくなって、どこかに吐き出そうとしただけだったのだ。これならまだ、喧騒の中ブラックボードに書き連ねられていく文字列を黙々とノートに書き写していく方が、幾らか有益だっただろう。


「ご、ごめんなさい!…ここまでは前置き。ここからが本題なの。言わないといけないと思って…」


私の応答に思わず被りを振りながら佐藤は続きを話そうとする。


「…まぁいいや。もうこの授業戻る気もないし、続けてよ。」


私が溜息しながらそう言うと、陰っていた表情をぱっと明るくして佐藤はありがとうと言った。

「その、ゴールデンウィーク中に、彼女達に会ったの。で、私気が付いたら泣きながらお金渡してた。前田くんと一緒。で、休み明けの初日、お昼休憩くらいかな、廊下で彼女達に囲まれて…それで…トイレでね、お、おなかなぐられてさっ!阿部くんと一緒!…きっと、次は私の番なんだ…」

最後の方は嗚咽が混じっていて良く聞こえなかったが、そういうことか。私の知らないところで、佐藤はそんな目にあっていたのだ。私は、黙ったまま、彼女の声を聞いていた。

「…ねぇ、月島さん。月島さん、さっき言っていたよね?関わっちゃったら学校来ないのが一番って…。私、嫌だよ。そんなの。確かに最初は、自分の都合で貴女に話し掛けたけれど、一緒に過ごした数週間、凄く楽しかった。貴女がどう思っているか分からないけれど、私、貴女みたいな友達初めてで、何をするときも皆の意見を聞いて、出来るだけ服装とかも合わせて、話題に乗り遅れてつまんないやつって思われないように一生懸命雑誌とか買ってネットとか見て、つまんないドラマだってちゃんと見てた。そんな私と違って、月島さんには私はこうだから別にいい、みたいなのがあってさ。本当にかっこいいなって。貴女がそう思っていなくても、私、貴女とこれからもずっと一緒にいたいよ…学校でもっとお話していたいよ!今度は私の話ばっかりじゃなくて、もっと月島さんのこと知りたいなぁ…!ねぇ、月島さん。私、どうしたらいいんだろう…どうすれば、貴女とこれからも一緒にいられるかなぁ…」

膝から泣き崩れた佐藤を私はなおも冷酷な目で見ていた。俯いて表情は見えないが、足元のコンクリートにシミが出来ていた。

愚かだ。愚かすぎて、笑ってしまいそうになる。
感情移入する余地もない。結局、こいつも、その他大勢と同じ。その典型だった。
周囲に合わせ続け、その結果見離された時、何もないのだ。

例えばこれを社会に置き換えよう。
君、明日から来なくていいよ。と突然宣告を受けたサラリーマンが、その場に泣き崩れて、嫌だよ、等と泣いてみろ。それこそお笑い草だ。静かに幕を引き、その後はバイトをするのだろうか、首を括るのだろうか、それは判断つかないが、ともかく大人達は理解しているのだ。結果は、与えられたその瞬間から覆らないと。

我が儘を言うな。そう声を掛けようかとも思った。
だが、不意に。本当に唯の気まぐれなのだが、佐藤を試してみたくなった。
長い間、嗚咽だけが静かに聞こえる屋上に、言葉を零す。

「そんなに嫌なら、耐えていればいいんじゃない。これは嫌だけど、あれは欲しい。って。まるで子供がおもちゃを欲しがって駄々をこねているみたいだよ。自分の都合のいいようにばかり、人は行動しちゃくれない。全然ちっとも嬉しくなんかないけど、はっきり言って迷惑だけど、それでも佐藤が、私なんかと一緒にいたいって、本気で思っているなら、耐えてみればいい。あとは…これは今回に限って絶対にありえないけど、別に学校でなくたって、私とは一緒にいられるんじゃない?あ、家まで付いてきたら殴るよ。…本当に欲しいものなら、何か失ってでも、取りにいけよ。泣いたら誰か助けてくれるのか。この前ニュースになっていた政治家かよ。お前歳幾つだよ。自分で考えろそのくらい。何が必要で何が不要か。考えたら、さっき佐藤が泣きながらよくわかんないこと言っていたその中に、ヒントの一つや二つあるんじゃないの。…以上、何か質問は?」

とりあえず日頃の不平不満も交えて言いたいことをそのまま口にした。
嘘はない。限りなく事実のみを言った。
思うことはあっても、実際に口に出すことはあまりないので、余計なことを言っているかも知れないが、知ったことではない。相談を受ける側にだって、主観はあるのだ。


私は、おかしいのだろうか。私が、おかしいのだろうか。
こんな状況でも、私は自分のことを考えている。自分がどうしたいのか。
長い間一人でいたせいか、感覚が、心が麻痺してしまっているのだろうか。
今更変えるつもりもないし、変われるとも思えないが。


漸く嗚咽を止め、佐藤は口を開く。

「ううん。無いよ。ありがとう。月島さんは、やっぱりかっこいいね。」

顔を上げ鼻を啜る彼女は、涙でぐしゃぐしゃの顔をこちらに向け、笑った。

太陽が、厚い雲の後ろに隠れた。





それからの半年程、私は佐藤に振り回され続けた。

彼女は、学校を休みはしなかった。
佐藤へのいじめはなくならなかったが、一度、わざと彼女は目に付くところに傷を付けさせ、そのままの状態で職員室へ。何故か私をつれて。
楠はいつもの静かな声で、「どうしたんですか、その傷は」と、佐藤に尋ね…後は省略するが、これでクラスで長らく続いていた件が発覚、いや、恐らく気づいていたのだろうが、見過ごせないレベルまで来たということか。
最早全国的に問題として挙げられていることだけあって、メディアやらなんやらが学校に大勢押し寄せた。

そして、犯行グループはそれにビビッたのだろう。そういう話はそれきり聞かなくなった。
停学処分や退学処分になっていないということは、恐らく犯人探しはしなかったのだろう。

納得いかないのは、なぜ記者会見や各先生への相談に、私も付いていかなければならなかったのかということだ。めんどくさかった。だるかった。


「ねぇ月島さん。月島さんは甘いもの好き?今度ねぇ、近くにあるスイーツビュッフェのお店で女子高生限定の1000円で2時間ケーキ食べ放題ってイベントがあるんだけど一緒にいかない?あ、あとそこの直ぐ隣のショッピングモールに近々新しいお店が一杯入るらしいんだ。あんまりお金ないけど見て回るだけでもきっと楽しいよ?一緒に行こう?」

しかし、最も面倒になったことというと、佐藤が遠慮しなくなったということ。

「いかない。」

「ええ、どうせ休日暇してるんでしょう?この前言っていたじゃない、大体の本読み尽くしちゃって最近暇だって。かまってよーいこうよー」

ちっ。何うっかり口を滑らせていやがる私。

「いかない。めんどい。じゃま。うっさい。」

「ふふ。とか言って、どうせ帰ってから詳細調べるんでしょう?この前だってちょこっと話した新作映画のこと、めちゃめちゃ調べてたものね。もうちょっと先だけど、公開したらいっしょにいこうねー。」

「…」

何うっかり、口を滑らせていやがる私。



情報が飽和し、電子的に誰とでも繋がることが出来、人が、人の心を理解する感覚を失いつつある中。
私が唯一つ言いたいのは、「見方を変えろ」ということだ。
先述したが、必ずしも誰かといることは幸福とは限らない。生き方は多種多様だ。
例え自分が望んでいなかったとしても、人生は長い。その一瞬、ちょっと貧乏くじを引いただけの事。
席替えのくじ引きでクラスにいる意中の子の隣になれず、その子の隣にはクラス一のイケメンが座っている、そんな状況と同じ。
いつまでも同じ席ではない。きっと年に数回、くじを引くチャンスはあるのだ。

君は、不幸ではない。幸福も不幸も、自らが作る。
だから見方を変えろ、そして考えるのだ。
未来で自分が幸福になる為に、何が必要なのか。

おっと、後半は少し偉そうだったか。
具体的な成功例として、そうだな。


「…で?いつなの」

やんややんやと何かを楽しげに話す佐藤の話をぶったぎり、私は問う。

「…へ?」

佐藤は素っ頓狂な声を上げた。私は少し目線をずらして、もう一度問う。

「…だから。ケーキ。…いつなの。それ」

「~~~っっっ!!え、え、えっとね!!え~~っと…明後日、金曜日!!」

私の問いに、過剰に反応する佐藤。現金なやつだ。
まぁ、無関係なのに頑張った私ほどではないにしろ、佐藤は頑張っていたように思う。
だから、まぁ、その、ご褒美みたいなものだ。




そんな、何処にでもある話。









少しだけ話をしよう
縁もゆかりもないけれど
袖振り合うも多生の縁
イヤホンはしまって

どんな話をしよう
巡り廻って会えたけれど
今日ぐらいは付和雷同、
君の話に乗っかろう

朝から晩まで同じところを廻る
まるで人生のようだ
昨日今日で未来が変わるなら
僕らはきっと未来人だ


とりとめのない話で
君を理解した気になりたいんだ
手を繋ぐくらいで埋まる距離感なら
世界はもっと愛で溢れているだろう
不透明な会話で
君と解り合えた気になりたいんだ
その前にひとつ聞き忘れていたよ
君のこと、なんとお呼びすればいいですか?


電子的な何かで
君といつでも話せるね
これからはいつでも一緒なんだ
それはとてもとても幸せなことだよ

近代的な何かで
君の声が届いているよ
これからはいつでも一緒なんだ
それはとてもとても幸せなことだよ

夜が明けて朝が来るのは
きっと神様が上手いことやったからさ
それくらいの軽薄さで
君と一つになりたいんだ


やりようのない寂しさを
君と二人で埋めたいんだ
言葉だけでは足りない事だから
人はきっと誰かを求めてる
言い様のない悲しみを
君と二人で共有したいんだ
その前に、大切なことを忘れていたよ
君のこと、なんとお呼びすればいいですか?


ノートに書いた落書きは 炭素が滲み不明瞭で
誰かに宛てた筈の手紙が 其処らに散らばってた

全部捨てた 全部棄てた

名前さえ思い出せない誰かと 肩を組んだ写真と
昔想いを寄せていた誰かと 交換した日記も

全部捨てた 全部棄てた

鋭角になっていく他人との距離感を
埋めるためだけに今日も笑う
何処にでもいる誰かと生きる未来を
想像するだけで今日を終える

愛の意味を履き違えてないか
幸福の意味を理解していない君が
どうしてそうも満たされてるように見えるのか
愛の意味を創り続けている
幸福になったつもりでいる今日も
僕はひとり 今日もひとり


思い出に縋っていたつもりが 記憶は海馬の残りカス
そこにあったかさえもう解らない その程度の幸福

全部捨てろ 全部棄てろ

唯、傍にいるだけでよかった筈なのに

永遠になったつもりでいないか
自由の意味さえ理解していない君が
誰よりも眩しいのはなぜなのだろう
永遠の形を創り続けている
答えを得た気になっている今日も
僕はひとり ずっとひとり


生きるとは何か考える
意味なんてない
愛が何か考える
理由なんてない
空が青い理由なんて
どこにでもある奇跡だから


本当の愛を探してる
理由なんてどこにもなくても
君を思う気持ちに嘘はなかった
本当の愛を探してる
君は僕を見て笑うだろうか
それぐらいがちょうどいい
僕はひとり 今日もひとり
この人生(ものがたり)がどうすればハッピーエンドになるか考えている

人は、言いたいことばかり言って、誰も真実を話さない。

願い事が叶うように、繰り返し、繰り返し。自分の思いを吐き続けていく。そして、それが事実へと昇華するように他人へ伝える。

ならば、僕の意志はどうすればいいのか。
伝えたところで、それは違うと異を唱えられ、非難され、それでも譲らずに言い続ければ、あいつは夢想論者なんだと、離れていく。

大多数に求められない思想や理想や信念がどういう末路を辿るのか、今の僕は理解している。

「お前はいつまで、風に凪ぐ柳のままでいるつもりだ」

「君は、いつまでもそのままの君でいてほしい」

相反する言葉を信用するには、どうすればいいのか。
変わろうとすることと、信念を持つことがイコールでないのなら、一体何処に渦巻く思いを、感情を吐き出せばいいのだろう。





「忘れないよ。私、絶対忘れない。」



知っている。僕は知っている。

この言葉が嘘であること。
この言葉が偽りであること。
この言葉が本心であること。
永遠なんて何処にもないこと。


「…ありがとう。」

解っている。僕は理解している。

僕の言葉は嘘であり、
僕の言葉は偽りであり、
僕の言葉は無意味であり、
この夜を過ぎれば、もう何も残らないこと。


「愛しているよ」

「愛しているよ」


同じ言葉が煌めく夜を彩る。鮮やかに光る三原色は光度とその配合率で以て無限の色を作るのだ。

それらは一瞬でしかなく。
そこに永遠等は介在しない。

それでも、それらを美しいと感じるのは。
それでも、それらを愛しいと感じるのは。

君を愛しいと感じる事に、嘘が、偽りがあろうと、本心であるのは。


「「さようなら」」

星が流れていく。
塵のような細かなそれらは不均一に、しかし同一の方向を目指しながら流れていくのだ。


それが永遠であったなら。
それが愛であったなら。


本当に欲しいものなんて、何処にもありはしないから。



いつも通りの休日 いつも通りの雨
少し能天気で 解りやすい君の機嫌

どんなこと話せば 口聞いてくれるかな
傘並べ歩き考える 今でさえも幸せで

こんな毎日が続いたら
ずっと君の傍にいれたなら
明日あるのかさえ不透明な
この先をずっと考えてる

たらればで埋め尽くした世界を
少しずつ失ってまた今日を生きて
運命なんて言葉で繋がった気になって
永遠なんてあるわけないのに
嫌だ 嫌だ ずっとこのままがいい
世界は今日も終わっていく

相変わらずの会話 相変わらずの関係
僕は今のままがいいから 踏み出す事も出来ず

きっと知らずにいれたら
君の手を握ることだって出来たのに

たらればで進むのを止めた世界を
少しずつ失ってちょっと焦って
本当に欲しいものが多すぎて
自分の小ささを憎んで

もっと素直になれたら
もっと優しくなれたら
嫌だ 嫌だ このままなんて嫌だ
聞いて欲しい事があるんだ

たらればで埋め尽くした世界を
全部投げ捨てて僕は歌うよ
奇跡なんて言葉使いたくないけど
君と出逢う事なんてもうないと思うから
嫌だ 嫌だ ずっと一緒がいい
世界が今日も終わったって
二人で綺麗な月を見よう

このページのトップヘ